ワゴンR K6Aエンジン オーバーホール作業の紹介です。

★K6Aエンジン オーバーホール★ 
組付け編



さあ、それではいよいよ組付けに取り掛かります。
と言ってもただ単に組んでいくのではなく
クリアランスの測定や調整をしながらの作業になります。





まずはピストンリングの合口すき間の調整です。
シリンダーにリングを入れてシクネスゲージで
すき間を測り、オイルストーンで削って調整します。





それぞれのシリンダーに合わせて調整してやるので
調整後のリングは別々に分けておきます。
テレコになっちゃうと何の意味も無くなりますからね。





リングをピストンに組付けます。





続いてはメタルクリアランスの測定・調整です。
プラスチックゲージをクランクジャーナルに載せます。
今回はメタルは新品交換するので、このへんかな?っていうサイズの
メタルをとりあえず使って測定します。





 クランクキャップを規定トルクで締め付けて少し時間をおきます。
その後キャップを外してプラスチックゲージのツブレ具合で
クリアランスの数値を測定します。

予定の数値になっていない場合には
メタルのサイズを変えてもう一度測定します。
全てのジャーナルが狙った数値になるまで
この作業を何度も繰り返します。

クリアランスが揃ったらクランクを本組みします。
2分割になっているブロックの合わせ面に
シールパッキンを塗って
規定トルクでキャップ部のボルトを締め付けます。





ボルトを締め付けた時点でクランクを回してみます。
クリアランスが揃っているので片手で軽く握っただけでも
クルクルとかる〜く回ります。





コンロッドのメタルも新品に交換します。
もちろんこちらもプラスチックゲージを使って
クリアランスを測定してやります。





クリアランスの調整が終るといよいよ本格的な
組付け作業に取り掛かります。

ピストンを組み込んだらお次はヘッドです。
ブロック上面とヘッドの下面をよ〜く脱脂してやって
新品のヘッドガスケットを使ってヘッドを載せます。





ヘッドが載っかるとだいぶエンジンらしくなってきます。
ブロックもヘッドもきっちりと洗浄してやっているので
とってもキレイで作業をするのも気持ちがイイ!





ヘッドにバルブリフターをはめ込んでカムを載せます。





タイミング位置がズレないように注意しながらチェーンを掛けます。
今回はチェーン自体はもちろんのこと
チェーンガイドやテンショナーも新品に交換してあります。





続いてはタペット調整(バルブクリアランス)です。
シクネスゲージでカムとバルブリフターのすき間を測り
シムの厚みを変えて調整してやります。

このエンジンはアウターシム方式を採用しているので
カムを外さなくてもシムの交換ができるようになっています。





取り外したシムの厚みを測って、ちょうどいいクリアランスに
なる厚みのシムと交換します。
ところが不思議なことに一発で計算通りには決まらないんですよねえ。
何度か入れ替えを繰り返しながら詰めていきます。
これがインナーシムタイプだったらその度に
カムを外さないといけないんでとっても大変です。





タペット調整が終ったらフロントカバーや
補機類を装着していきます。
この辺りになるとドンドン作業ははかどります。





本来の依頼であったクラッチ交換も
エンジンを車に載せる前にやっちゃいます。
元々強化クラッチが装着されていたのですが
今回はエクセディのメタルクラッチをチョイスしました。
もちろん強化カバーもセットで交換です。





フライホイールは軽量品に交換してあったのでそのまま再使用です。
ジムカーナとかのハードな走行をしていた訳ではないので
表面の焼け具合もさほどひどくは無く十分使える状態でした。





エンジンを載せたら完成です。
水廻りをはじめとするホース類は全て新品交換しました。
ゴム製品は消耗部品ですから
破れてトラブルになる前に早めの交換が安心ですね。





インタークーラーも新品に交換しました。
元々ARC製の同じ物が装着してあったのですが
エンジンの振動によってか、コア部分にピンホールが開いちゃって
そこからエアーが抜けていたんですねえ。
小さな穴だったので修理も考えたんですがここは思い切って・・・





エアクリーナーのフィルターも新品にしました。
装着状態だと下向きに付いているので
汚れ具合がチェックできないんですよねえ。
クリーナー本体を外さないと交換もできないし・・・

 



EVCも装着しました。
今まで付けていなかったのが不思議なぐらいですが・・・
エンジンのレスポンスアップに加えて
ブーストの立ち上がりアップを狙っています。

さてオーナーのインプレッションですが。
まずは低速からのレスポンスの良さに大満足!
ナラシがあるのでまだ全開走行はしていないようだけど
あきらかにエンジンの吹けあがりが良くなっており
車がとっても軽く感じるようです。

またEVC効果でブーストの立ち上がりが良くなっているので
軽くアクセルを踏んだだけでも下からトルクが盛り上がって
すごく速くなっている予感が・・・

ナラシが終る日がくるのが楽しみですねえ。