アルテッツァ・ジータ タイミングベルト交換作業の紹介です。

★アルテッツァ・ジータ タイミングベルト交換★

その昔、エンジンのカムシャフトの駆動は
タイミングチェーンを使っていました。
1970年代頃からチェーンに変わって
タイミングベルトを採用するエンジンが増えてきました。

チェーンからベルトに変わってきた理由は、
エンジンがそれまで主流だったOHVが少なくなり
OHCやDOHCが増えてきたことによります。

OHVはカムがシリンダーブロックに内蔵されていました。
そのため短いチェーンで良かったのですが・・・
OHCやDOHCはカムがヘッドの上に載っかっています。
クランクからの距離もかなり遠くなり、
必然的にチェーンも長くなってしまいます。

チェーンが長くなるとどうしても静粛性に問題が出てきます。
また、伸びによるタイミングのズレの心配も・・・
自転車が古くなるとチェーンが伸びて
スプロケから外れちゃうことがありますよね。
それと同じような心配があったんです。
(エンジンの場合、外れる心配はありませんが。)
当時のチェーンの構造は自転車用の物とよく似ていましたから。


そこでタイミングベルトの登場となりました!
ベルトでしたら少々長くなったとしても
エンジンノイズの原因にはなりにくい。
さらに伸びもチェーンよりは少ないので、
タイミングのズレも起こりにくいからなんです。

当初いいことずくめに思われたタイミングベルトですが、
けっこうデメリットもあったんです。

まずはみなさんご存知のように耐久性です。
古くなってくるとコマ飛びなどのトラブルが出てくるため、
10万kmごとの交換が必要です。
交換にはそこそこの出費が必要になりますので
ユーザーの負担も増えてしまいます。

メーカーは10万kmも乗るユーザーは少ないと踏んでいたんじゃないかと。
私が免許を取った当時、10万kmも乗った車はもう終わってる
って意識があったことは確かです。
ところがクルマ全体の耐久性が上がり、
道路網も整備されたため、一般ユーザーの
走行距離が飛躍的に伸びてきはじめました。

そうなると10万kmオーバーは当たり前。
それどころか20万、30万kmのクルマも・・・
一部ユーザーだけが経験するはずだったタイベル交換が
一般的な整備になっちゃったんですよね。

そしてやはり伸びの問題も。
当時のチェーンよりは少なかったとはいえ
やはりベルトでも伸びは起こります。
さらにコマ飛びでもしようものなら大変なことに!
ベルトも完璧なアイテムでは無かったんですね。

そこでメーカーはまたチェーンへの回帰を始めます。
時代の流れと共に技術革新がされており
チェーンも以前とは全く違う構造の物が開発されました。
静粛性に優れ、伸びも少ない。
そうなるとベルトを採用する意味が無くなって来たんです。
10万kmごとにユーザーに負担を強いることも無くなりますからね。
まあ、それはそれで新たな問題を抱えていますが・・・


しかし、タイミングベルトの車は
まだまだ現役でバンバン走っています。
当面はこの作業が無くなることもないでしょうね。

前置きが長くなりましたが、
そんなタイミングベルトの交換作業を紹介します。





このクルマは当店でリジカラを装着した1号車だったりします!
今では当店の定番ヒット商品になってますが、
当時は
「イチかバチかやってみますか?」
ってノリで装着したんですよね〜。
定番商品になったのもこのクルマのおかげってことですかね?(笑








補機類やカバー等を外してタイミングベルトとご対面!
このエンジンはツインカムなんですが、
トヨタ独特のハイメカツインカムっていう構造のため
ベルトは1本のカムプーリーに掛っているだけです。

それなりの傷み具合ではありましたが、
まだコマ飛びとかが出そうなほどには見えませんでした。

一応10万kmごとの交換となってはいますが、
越えたからってほとんどの場合には、
すぐに切れたりすることは無いんです。
たまに10万km前に切れたって話を聞きますが・・・

それに「切れる」って言っても
ベルト本体がブチッと切れるわけじゃありません。
(切れちゃう場合もありますが・・・)
写真ではわかりにくいですがベルトの内側には
カマボコ状のコマが付いているんです。
このコマが欠けちゃうんですよね。

各プーリーの溝にこのコマが噛み合って駆動しているものですから、
コマが欠けちゃうとプーリーの回るタイミングがズレてしまいます。
タイミングがズレることによって、
エンジンが不調になったり、掛らなくなったり、
最悪ピストンとバルブが干渉したりしちゃいます。
そうなるとエンジンのオーバーホールが必要になります。
タイベル交換を甘く見ていると
後でえらい出費になることがありますんで!!








ウォーターポンプも新品に交換します。
10万kmも乗ってるわけですから、
ウォポンもそれなりに傷んでますからね。

ウォポンを交換するにはタイミングベルトを外さないといけないクルマが多いので、
当店では一緒に交換するのを推奨しています。
工賃の節約にもなりますし、
交換しないですぐにトラブルが出るのも寂しいですから・・・








サーモスタットも交換しました。
一度も交換したこと無いっていうことでしたのでね。
どうせ冷却水を抜くんですからね。








ついでにタペットカバーのパッキンも交換します。
って、あんまりカブる作業は無いんで、
ついでとは言えないかもしれませんが。
オイルのにじみを見つけちゃったんで、そのままってわけにはね〜。

カバーの内部はけっこうキレイな状態でした。
10万kmオーバーのエンジンとしては優秀なほうではないでしょうか!
日ごろのオイル交換のメンテが良かったんでしょうね。








もちろんヘッドやカムもキレイな状態でした。
オイル交換をサボっていたエンジンだと
スラッジが溜まって真っ黒になってる事も多いんで。








ここまでバラしたんでオイルシールも交換しておきます。
カムとクランクに加えてこのエンジンにはオイルポンプのシールもあります。
もちろん3つとも交換しておきました。

以前のekワゴンの場合にはオイルシールから漏れてましたからね〜。
交換するのにタイベル外さなきゃいけないし、
ちょうど距離もきていたんで
タイベルも一緒に換えようかってことになったんですよね。








このエンジンのカムプーリーを固定しているボルトは
塑性締め付けタイプになってます。
そのため一度緩めると再使用はできないんですよね。
純正部品ではカムシールにボルトがセットで付いてきますから
新品に交換します。







タイミングベルトを付ける前にタペットカバーを装着します。
なにしろ新品のタイベルにオイル汚れはご法度ですから!
さきにカバーを付けておけばオイルに触れる心配もありませんからね。
もちろんカバーやヘッド廻りのオイル汚れもキレイにしてあります。
せっかくパッキン換えたんですからね。





 



テンションプーリーとアイドラプーリーも交換します。
外したプーリーの状態はさほどでもありませんでしたけど、
なんせベアリングは消耗部品ですからね!





 



新品ベルトの装着完了!
各プーリーのマークを確認してズレが無いことをチェックします。
ここでコマズレしてたら意味がありませんからね。





 



カバーを付けてクランクプーリーを付けます。
クランクボルトをトルクレンチで締めるんですが、
これがかなりの高トルクなもんですから二人がかりで締め付けました。

カバーもキレイに洗浄しておきました。
せっかくの新品ベルトに汚れが付いたら困りますからね。





 



ファンベルト・パワステベルト・エアコンベルトの3本も交換です。
ここは完全についで作業になりますね。
ベルトが新しくなるとヒュルヒュル音が消えてエンジンが静かになります!
古いベルトだと張り調整だけではどうしても消えない音があるんですよね〜。





 



補機類を装着して、冷却水を入れたら完了です。
もちろんエア抜きもばっちりやってますよ!

まだまだタイベルの車も現役でバリバリ走っていますから、
当分はこの作業も続くでしょうね。
10万kmといえばタイベル以外にも各部にガタが出てくる頃です。
タイベル交換はちょっと思い切ったメンテナンスをするのには絶好のタイミングです。


そういったメンテ等のご相談もお気軽にどうぞ!
当店スタッフが愛車と永く付き合うためのお手伝いをいたします!!