NSX C30A ハイコンプ チューニング作業の紹介です。

★C30A ハイコンプチューン★ 
ブロック加工編

続いてブロックの加工です。
まずはクランクシャフトから・・・
フリクションロスの低減と耐久性を
考慮した加工をしてやります。

 



クランクにはピン部とジャーナル部それぞれに
潤滑用のオイル穴が開いています。
純正でもその穴の端には「ザグリ」がしてある
のですが、それを円周方向に延長してやります。

 



他の部分にキズが付かないように
ガムテープでマスキングします。

 



マスキングをした全体の写真です。
まるでミイラ男状態!

 



砥石を付けたリューターで削って
拡大したザグリです。
元々メタルの潤滑が厳しいエンジンなので
これでメタルの寿命も延びるでしょう。

 



ピンのオイル穴にはセンターからズレている
ところに開いているものがあります。
この穴はザグリも長いほうにオフセットしてあります。

 



この場合はオフセットに合わせて
拡大幅を変えてやります。

 



続いてはフリクションロスを低減させるために
カムと同じようにポリッシュ加工をしてやります。

 



加工前後の比較です。
右が加工前で左が加工後です。
カムのように色が黒くない分、よりキレイに
輝いているように思えます。

 



ピン部分もピカピカです。

 



これも前後の比較です。
上が加工後で下が加工前です。
加工前の方はややくすんだように見えます。

 



ポリッシュ加工が終わったクランクです。
写真では解りにくいですが、現物はピンも
ジャーナルも輝いていて、とってもキレイ!

 



いよいよピストンの登場です。
今回は「JUNオート」さんが発売している
ピストンを使いました。
ノーマルより0.5mmオーバーサイズの
90.5パイになります。
サイドの刻印から「コスワース」製のようですね。

 



ピストントップの形状はこんな感じ。
今回インテークバルブをビッグバルブに
換えたので、リセスが逃げるかが心配です。

 



ピストンのサイド部分は緑色の
コーティングがされています。
サイドのスカート部はエッジが立たないように
ペーパーでRを付けておきます。
この後ピストンはコンロッドとセットで
重量合わせをしてやります。

NSXのノーマルピストンはセミフローです。
JUNピストンはフルフローなので
コンロッドの小端部の加工が必要です。
もちろん戸田レーシングさんにお願いしました。

  



ボーリングから戻ってきたブロックです。
ブロックの上面も修正面研してあります。

 



シリンダーの壁面です。
0.5mmぐらいのボーリングだとライナーにも
まだ余裕がありますね。
純正でも0.5mmのオーバーサイズの
設定があるぐらいですから当然ですけど。

お次はピストンリングの合い口調整です。
JUNのピストンには専用のリングは設定がなく
純正のオーバーサイズ用のリングを使います。

 



リングをシリンダーにいれて、ピストンを使って
規定の位置まで真っ直ぐに押し下げます。

  



シクネスゲージでリングのすき間の
数値を測ってやります。

  



オイルストーンでリングの端を削って合わせます。
一度には決まらないので「測って・削って」を
何度か繰り返します。
もちろん全てのリングを調整するので
全部で24本あります。
各気筒ごとに合わせるので調整後のリングは
バラバラにならないように保管しておきます。

 



オイルポンプのギアを強化品に交換します。
NSXのオイルポンプは高回転で使用すると
割れてしまうことがあるようで
戸田レーシングさんから強化品が発売されています。

  



右がノーマル、左が戸田製です。
形状はほとんど同じなので、見た目では違いはわかりません。

  



オイルをたっぷり塗って組み込みます。
今回はカムもノーマルで、レブリミットも変更しないので
強化品は必要ないかもしれませんが
念のために交換しておきました。

  



NSXのオイルパンはバッフルプレートが無いので
けっこうオイルが片寄るようです。
アルミ製のバッフル付きオイルパンも発売されていますが・・・
アルミ製だと下廻りをヒットした時に割れてしまい
オイルがダダ漏れになることがあるようです。
今回はノーマルの鉄製を加工しました。

  



オイルポンプにストレーナーを固定して
オイルパンに置いて、位置を確認します。

   



ダンボールで型どりをしてやります。
バッフルプレートの下部分と両端には
すき間を開けて置かないと、オイルの戻りが
悪くなってしまうので要注意です。

  



ダンボールに合わせて鉄板をカットして
オイルパンに溶接します。
この時オイルパンに穴を開けちゃうと
元も子もなくなりますので気をつけて。
NSXは油温もけっこう厳しいので、本当は
容量もアップしたかったのですが、加工が大掛かりに
なるので今回は見送りです。

以上でブロック部門の加工終了です。
いよいよ組付けに取り掛かります。